2011年2月28日月曜日

重大発表!?

2/19にビームが停止してからちょこちょこと工事してます。

1. T0チョッパーの配線を光ファイバーに変えました。
放射線に弱い部品を外に出すのが目的でしたが、副次的効果としてノイズが減って回転が安定した気がします。
すばらしい。
2. 遮蔽体内にエアコンを入れました。
通常、装置とは熱と湿気に弱いものですが今までノーケアだったので、新しい装置の寿命が少しでも延びるようにエアコンでケアしてあげることにしました。
まぁ、普通のことなんですが。

さて、ここからが重大発表(?)です。
今まで使ってきた"ARISA-II"という名前ですが、これはKEKの中性子源で使っていた"ARISA"反射率計をJ-PARCに移設してきたことに由来して名付けられました。
しかし、ARISAのコンポーネントはすべて撤去してしまい、いつまでもこの名称を使い続けるのもおかしい、ということで、このたび名前を変えることになりました。
この装置はJST/ERATOの高原ソフト界面プロジェクトとの共同研究でアップグレードしましたので、これにちなんで
  ソフト界面解析装置 SOFIA (SOFt Interface Analyzer)
と変更するよう手続きを進めています。

SOFIAもARISAと同様に女性の名前となっており、知恵を原義としているということで実験装置にふさわしいかなと考えております。
最初は慣れないかもしれませんが、ARISA同様仲良くしてもらえるとうれしい限りです。

2011年2月12日土曜日

秘密兵器?

今回、装置を新調するにあたって「試料アライメントの簡略化」を企んでいます。

一般的に、反射率計では非常に浅い角度で中性子ビームを試料に入射するため、試料の位置や角度を微調整する機構が必要になります。
X線だとビーム強度が十分つよいので実際のビームで調整するのが普通ですが、中性子はそれと比べるとビーム強度が弱いため、例えばレーザー光でビームラインを模倣し、そこに試料を目視であわせる、といったことを行っていました。
J-PARCになってビーム強度が劇的に増加したため、実際のビームで調整を行うようになったのですが、ちょっと変なことが起きると今どういう状況かわからなくなってしまうことがたまにありました。


そこで、レーザー変位計/角度計を用いて実際に試料の高さと角度を測量、調整してしまえば中性子を一切使わずに試料のアライメントができるのではないか?と考え、これを導入してみました。
上の写真が導入したレーザー角度計で、液面(→常に水平)を用いて試料が水平になったときにレーザーが垂直に入射されるように調整しました。
これを使えば、固体の試料でも水平レベルが出せるため、そこを基準にステージの角度を調整していけば希望の入射角で中性子を照射することができるはずです。
なお、この際の水平レベルの精度ですが、おそらく±0.01度ぐらいの範囲で調整できるのではないかと考えています。
これは実際の実験にとって十分な値で、うまく機能してくれるのではないかと期待してます。
高さについては写真の右上に少しだけ写っているレーザー変位計を使えば原理的には0.5umの精度で位置が測定可能なので、こっちは問題ないでしょう。

ただ、今回テストしてみたところケーブルの長さが足りてない、ということに気がつきました。
延長ケーブルは入手可能なので、手に入ったら再度挑戦してみたいと思います。

2011年2月8日火曜日

標準試料測定

基本的な装置調整がだいたい終わったので標準試料による検証中です。

まずはSiの反射率。かなり細かく角度を振っていますが、すべてよく一致しています。

次に重水素化ポリスチレンの反射率。こちらは膜厚に対応する干渉が見えていますが、その周期等もちゃんと一致しています。

というわけで、基本的な装置調整は何とか終わりました。ただ、実は細かいところを追っていくと問題点が色々見つかったりしています。また、反射強度を規格化するための細々したこともやらなくてはいけません。その辺は、これからもう少し詰めていこうかと思います。

今月のマシンタイムは残り2週間弱。やることもまだまだ残ってます。がんばらねば。

2011年2月3日木曜日

掲載情報

新しい反射率計ですが、整備完了の先が見えつつあります。
今は、これまであまり気にしていなかった細かい箇所を追い込んでいる最中です。

そんな中、BL16を用いた成果の掲載情報が届きました。
- M. Kobayashi, K. Mitamura, M. Terada, N. L. Yamada, and A. Takahara, "Characterization of Swollen States of Polyelectrolyte Brushes in Salt Solution by Neutron Reflectivity", J. Phys.: Conf. Ser. 272 (2011) 012019.
- K. Mitamura, N. L. Yamada, H. Sagehashi, H. Seto, N. Torikai, T. Sugita, M. Furusaka, and Atsushi Takahara, "Advanced Neutron Reflectometer for Investigation on Dynamic/Static Structures of Soft-Interfaces in J-PARC", J. Phys.: Conf. Ser. 272 (2011) 012017.
- Y. Terayama, H. Arita, T. Ishikawa, M. Kikuchi, K. Mitamura, M. Kobayashi, N. L. Yamada, and A. Takahara, "Chain dimensions in free and immobilized brush states of polysulfobetaine in aqueous solution at various salt concentrations", J. Phys.: Conf. Ser. 272 (2011) 012010.
同じproceedingsに投稿したということでまとめて3件の掲載です。

装置整備が一段落したら、装置に関する論文も書かないといけないですね。