2012年1月25日水曜日

run#40終了

2011年3月11日の地震以降、運転を停止していたJ-PARCですが、12月に加速器の再起動を果たしました。
地震の被害状況を考えると驚異的な早さと言って良いかと思います。
そして、2012年1月24日、MLFも中性子/ミュオンの供用運転を再開しました(そのときの様子 http://twilog.org/nlyamada/date-120124/asc-norep )。
その後順調に運転を行い、今日の朝7:00に無事run#40の運転を終了しました。
地震のためずれた加速器の位置が完全には戻っていないのですが、ビームは非常に安定しており、出力こそ震災前の半分(120kW)ですが十分に高品質のデータを測定することができました。
BL16 SOFIAでは4件の課題(供用日数15日)を消化し、ユーザーさんも満足いく実験結果が得られたようです。
これも加速器グループの皆さんの並々ならぬ努力のたまものだと思います。
心より感謝いたします。


なお、装置本体の方ですが、以前に調整を行ったレーザーで角度をアライメントできるシステムを実装しました。
写真(左)は角度の調整を行っているところで、液体表面を測定して水平を確認しています。
写真(右)は液面で反射した光の検出像で、ちょうど真ん中に来ると試料が水平に置けている、ということになります。
液面で水平を確認していることからも分かるとおり、石英ガラスのような透明な基板に作成した試料でもアライメントが可能です。
試料が容器内に入ったような状態ではさすがにどうしようもありませんが、大気中の測定であればアライメントが楽になっているはずです。
また、スリット条件を見直したところ、中性子強度がおおよそ倍になることが確認できました。
もちろん測定条件にもよるのですが、単純には測定時間は半分になります。

震災からもうすぐ1年。
まだまだ地震の影響は残っていますが、BL16 SOFIAは復旧を果たしたと言って良いかと思います。
次のrun#41は3/5からで、引き続き実験課題を消化していく予定となっていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

2011年11月9日水曜日

論文掲載情報

新たに論文が掲載されましたのでご報告します。
N. L. Yamada, N. Torikai, K. Mitamura, H. Sagehashi, S. Sato, H. Seto, T. Sugita, S. Goko, M. Furusaka, T. Oda, M. Hino, T. Fujiwara, H. Takahashi, and A. Takahara, "Design and Performance of Horizontal Type Neutron Reflectometer SOFIA at J-PARC/MLF", Euro. Phys. J. Plus, 126, 108 (2011).
タイトルの通り、SOFIAの設計とパフォーマンスに関する論文です。

2011年9月25日日曜日

論文掲載情報(追記)

先日掲載情報をお伝えしましたが、もう1件新たに論文が掲載されました。
N. Torikai, N. L. Yamada, H. Sagehashi, T. Sugita, M. Furusaka, Y. Higashi, M. Hino, T. Fujiwara, H. Takahashi, "Development of a Physically Bent Cylindroid Mirror for Beam Focusing for a Pulsed Neutron Reflectometer", IOP Conf. Ser.: Mater. Sci. Eng., 24, 012016 (2011).

ちなみに、こちらで把握している限り、あと2報の論文が査読中です。

2011年9月23日金曜日

論文掲載情報

反射率計を用いた成果ですが、新たに論文が2件掲載されました。
- R. Inoue, K. Kawashima, K. Matsui, M. Nakamura, K. Nishida, T. Kanaya, and N. L. Yamada, "Interfacial properties of polystyrene thin films as revealed by neutron reflectivity", Phys. Rev. E 84, 031802 (2011).
- H.-J. Liu, U.-S. Jeng, N. L. Yamada, A.-C. Su, W.-R. Wu, C.-J. Su, S.-J. Lin, K.-H. Wei, and M.-Y. Chiu, "Surface and Interface Porosity of Polymer/Fullerene-Derivative Thin Films Revealed by Contrast Variation of Neutron and X-ray Reflectivity", Softmatter 7, 9276 (2011).

本格的に実験ができるようになって2年弱。
成果の方も徐々に増えてきています。
ビームは残念ながら停止していますが、投稿中の論文もいくつかありますし、これからも継続的に成果の報告ができるのではないかと期待しています。

2011年6月10日金曜日

T0回転試験終了

今日、T0チョッパーの回転試験が完了しました。
問題なく動作することが確認でき、ほっとしています。
これで、ほぼ全ての機器について確認を完了し、地震による大きな被害はなかったことが確認できました。
スリットは反射率計の大事なパーツの1つなので、これについては念のため精密検査を行うかもしれませんが、とりあえずビームが出た後に光軸調整などを行えば以前と同じように動かせる公算が高いです。

これからビーム運転までは、試料環境の整備など、さらなるアップグレードを試みる予定です。

2011年4月21日木曜日

BL16被害状況 (4)

昨日から中性子源セクションの方々の協力を得てビームシャッターを抜き出してもらい、本日、中にあるミラーの目視を行うことができました。
一部フランジのねじが緩んでいたものの、幸いなことにミラーの破損等は確認されませんでした。
今回はとりあえず被害状況の確認ということで、明日シャッターは元の位置に戻されます。

あとはT0チョッパーが無事に動いてくれれば、BL16で重大な損傷はなし、ということになります。
1Hzで低速回転した感じでは、25Hzもうまく回ってくれるのではないかと期待しているのですが…

2011年4月12日火曜日

BL16被害状況 (3)



これまで別の作業にクレーンが使用されていたため、前置き遮蔽体の解体と内部の被害状況確認ができていなかったのですが、11日にクレーンの確保、および前置き遮蔽体内部の点検作業を行うことができました。
写真は外部からみた中の様子ですが、幸いなことに外観からは被害が確認できませんでした。
中に入り、上流にあるフランジを開けて中のガイド管の確認も行いましたが、こちらも問題ありませんでした。
また、ディスクチョッパーの動作試験を行ったところ、25Hz運転、位相制御共に問題なしでした。

今回もこちらに詳細なレポートをアップしていますので、興味がある方はどうぞ。