2010年2月8日月曜日

工事中


年度末に向けて、再び工事を行ってます。
今回は、機器等を真空に引くための配管と居住スペースとなるプレハブ(キャビン)の設置作業です。
写真はビームライン内部に設置した真空配管で、下流から上流に向かってパイプが伸びている様子を示しています。
中性子は空気で減衰しますので(だいたい1mで90%)、途中を真空に引いてあげることでビーム強度のロスを防ぐことができます。
また、来年の夏にはT0チョッパーという約15kgの金属塊を1500rpmで回転させる機器を設置するのですが、これを回すためには空気抵抗を減らすために真空に引く必要がありますし、試料周りを真空に引いて実験したいという要望も寄せられています。
そのためにも、今回の真空配管は不可欠なものだったのですが、これまで敷設できていませんでした。
これでようやく対策がとれるようになりましたので、来年度にかけてさらなるケアを施していきたいと考えています。

ちなみに、キャビンの方は設置のための罫書きがだいたい終わり、10日以降に実際の設置作業を行っていく予定です。

2010年2月3日水曜日

Run#29終了

今回は装置の調整が3日間、ユーザーの実験が3日間×3グループというスケジュールでした。
新しい2次元検出器を使った初めての本格的な実験でしたが、
- 角度のスキャンが不要 (少々目的の角度とずれていても解析で何とかなる)。
- バックグラウンドも同時に測定することができる。
というメリットが得られたこともあり、非常に順調だったように思います。
また、今回新しく作ったシステムも(最初は若干のバグがあったものの)順調に動作しており、ユーザーの方からも「操作が楽になった」と好評な様子でした。

一方、
- 解析プログラムが不十分。
- 測定時間が短すぎて眠れない。
- 温度変化のためにいちいちシャッターを閉じなくてはならない。
といった問題点も浮き彫りになりました。
どれも、いずれは何らかの形で解決しようと考えていた問題ではありましたが、実際に苦労されているユーザーさんの様子を見ていると少々心苦しかったです。
最終的には、自分が実験する際にも苦労することになるわけですし、皆が快適に実験できるよう引き続き整備を続けていきたいと思います。

とりあえず、近々サンプルチェンジャーが導入される予定です。

2010年1月24日日曜日

run#29実験開始


夏に導入したチョッパー等の制御システム、先月に導入したシンチレーション検出器といった機器群を一つのPCで制御できるようにプログラムを書き換えました。今のところ手動操作のみのサポートですが、もう少しがんばれば角度の自動スキャンも行えるようになります。また、サンプルチェンジャーも導入予定で、そこまでできれば複数個の試料をほったらかしで自動測定できるようになります。今のところ、長くても2,3時間の測定時間なので夜中もつきっきりで実験しているという状況なのですが、これが実現化すれば夜はちゃんと眠れるユーザーに優しい装置へとまた一歩近づくことになります。

次は、2次元検出器のメリットを最大限に利用できるように解析プログラムを書き換える予定です。

2010年1月19日火曜日

J-PARC水平型中性子反射率計研究会

今日は以下のプログラムで研究会を行いました。準備の都合上、アナウンスがぎりぎりのタイミングだったのですが、20人を越える参加者があり予定時間を1時間以上もオーバーするほどの熱い議論を戦わせました。

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日時:2010年1月19日(火)15時~
場所:高エネルギー加速器研究機構4号館1階セミナーホール

<プログラム>
○15:00 瀬戸秀紀(KEK)
 「J-PARC/MLFの現状とS型課題」
○15:10 山田悟史(KEK)(代:瀬戸秀紀)
 「ARISA-IIの現状」
○15:30 御田村紘志(JST/ERATO)
 「BL‐16「試料水平型中性子反射率計」について」
○15:50 高橋浩之(東京大学)(代:藤原健)
 「高速・高分解能2次元MSGC」
○16:10 小林元康(九州大学,JST/ERATO)
 「中性子反射率を用いた固液界面における高分子電解質ブラシの膨潤挙動評価」
○16:30 横山英明(東京大学)
  「」
○16:50 鳥飼直也(三重大学)
  「ブロック共重合体薄膜への選択溶媒の浸透深さ」
○17:10 高原淳(九州大学)
  「まとめと今後の展開」

2009年12月15日火曜日

続・2次元検出器


2次元検出器のセットアップが完了しました。
まだ、特性評価の最中ですが、だいたい以下のようなスペックになります。
- 有感領域: 約100mmφ
- 分解能: 約1mm(中心位置)
- ピクセルサイズ: 約0.125mm
- 検出効率: 既存の3He検出器に対して17.6%@0.18nm,51.3%@0.9nm

図はCdの切れ端(幅:約2mm)を"BL16 ARISAII"と加工して検出器前面に貼り付けて測定したイメージング実験の結果です。
検出器の特性としてどうしても端はゆがんでしまいますが、ちゃんとCdの影が見えています。
今日からは、実際にこれを用いた反射率測定に挑戦してみる予定です。

2009年12月13日日曜日

2次元検出器


ついに2次元検出器が届きました。
待ちに待った多次元測定への第一歩です。
最も一般的な中性子の検出器は3Heを用いたタイプのもので、3Heが中性子を吸収した際に生じる電荷を検出することにより電気信号へと変換されます。
一方、今回導入したのはZnS/6LiFシンチレーター+位置検出型光電子増倍管で、シンチレーターという中性子を吸収することにより光を発する物質を用い、それを光検出器で観測することで中性子を検出します。
シンチレーターは3Heと比較して検出効率が低い・ガンマ線感度が高いといったデメリットがある一方、最大計数率や分解能が比較的高く、2次元検出器の中ではかなり安価に導入できるというメリットがあります。
特に、今までは位置分解能をもたない0次元の検出器を使用してきましたので、得られる情報が非常に限られてきましたが、検出器が2次元化すれば物質界面を多次元的に観測することが可能になります。

早速これを使って実験を行いたいところですが、まずは検出器自身の調整からです。
今回購入した検出器はKEKの佐藤さんが精力的に開発を進めていましたので、特に中性子を検出した際の信号処理回路についてヘルプをお願いしました。
そのおかげで、特に大きなトラブルもなく順調に動き始めています。
現在、色々な特性評価を行っている最中ですが、期待通りの性能が出ている模様です。
詳細については、またまとまってからアップする予定です。

2009年11月27日金曜日

run#27を終えて

run#27では丸々2週間を本格的な試料測定に充てました。
100kW運転によりビーム強度が格段に向上し、短時間で測定を終えられるようになりました。
また、バックグラウンド対策も進み、(まだちゃんとは検証していませんが)気体/固体界面の測定なら反射率で10^{-7}まで測定できそうな感触です。
スキャンも昔のARISAと比べれば格段に早く、簡単になりました。
実際に使っていただいたユーザーの方々にも、満足していただけたのではないかなと思っています。

ただし、人間の体力が測定に付いていきません。
感覚としては放射光実験にかなり近いです。
もう少し先でも大丈夫だと考えていた自動化ですが、優先順位をかなり上位まで挙げる必要がでてきました。
ただし、まだ自動化を行う上でハード的なトラブル(チョッパーの駆動系からノイズが発生している)が解決していないので、そちらをクリアしないことには先へ進めないという状況です。
一応、これを入れればしのげそう、という機器は発注済みですので、とりあえずはそれを試してみたいと思います。


なお、run#28(12月)は2次元検出器の設置を、run#29-31(1-3月)はユーザーへのビーム供用を予定しています。