2009年11月27日金曜日

run#27を終えて

run#27では丸々2週間を本格的な試料測定に充てました。
100kW運転によりビーム強度が格段に向上し、短時間で測定を終えられるようになりました。
また、バックグラウンド対策も進み、(まだちゃんとは検証していませんが)気体/固体界面の測定なら反射率で10^{-7}まで測定できそうな感触です。
スキャンも昔のARISAと比べれば格段に早く、簡単になりました。
実際に使っていただいたユーザーの方々にも、満足していただけたのではないかなと思っています。

ただし、人間の体力が測定に付いていきません。
感覚としては放射光実験にかなり近いです。
もう少し先でも大丈夫だと考えていた自動化ですが、優先順位をかなり上位まで挙げる必要がでてきました。
ただし、まだ自動化を行う上でハード的なトラブル(チョッパーの駆動系からノイズが発生している)が解決していないので、そちらをクリアしないことには先へ進めないという状況です。
一応、これを入れればしのげそう、という機器は発注済みですので、とりあえずはそれを試してみたいと思います。


なお、run#28(12月)は2次元検出器の設置を、run#29-31(1-3月)はユーザーへのビーム供用を予定しています。

2009年11月13日金曜日

run#27@100kW 初データ


ついに100kWになりました。
すごいです。

上の図は東大の横山グループの実験で得られた高分子と重水の界面からの反射率プロファイルで、膜厚(約1300Å)に起因する干渉と平滑な界面に起因する運動量遷移Qの-4乗に比例した反射率の減衰が見事に観測されています。
このデータは2Åから9Åの中性子を使用したもので、測定時間は0.30度、0.75度、2.0度でそれぞれ約5分、10分、100分です。
ARISAがKEKにあった頃だと、おそらく1日かけてもこの質のデータはとれていないと思います。
試料の位置調整を含めても2時間そこそこでデータがとれてしまいますし、まさに嬉しい悲鳴です。

ただ、同時に今まで気づかなかった細かい問題点もいくつか見えてきました。
大きな問題点がつぶれると、こういった細かいところが装置の性能に効いてきますので、今後色々と対策を施していきたいと思います。

2009年11月9日月曜日

100kW前夜


明日からrun#27が開始です。
予定では、20kWから100kWへと加速機出力が増大することになっています。
個人的には今でも結構強いと感じているので、これが5倍になるとどうなるんだろう?とちょっとどきどきです。

と、その前に、前回のrunで色々と測定はうまくいったのですが、バックグラウンドがまだ高いのが気になっていました。
まぁ、本来ケアしておかなくてはならない試料-検出器間のパスががらあきだったので、当然と言えば当然の結果です。
そこで大至急このパスを埋める筒を作ってもらい、今日無事に設置することができました。

ARISA-IIは着実にアップグレード中です。